シンガーのモデル206。日本ではほとんど見かけることもないと思いますが、こちらも家庭用ミシンの部類に入るジグザグの足踏みミシンです。本機はドイツ製で、いかにも機械らしく重厚堅牢という雰囲気が分かると思います。「めずらしいから消耗品も手に入りにくいんじゃないの？」と思われるかもしれませんが、針は現行の家庭用ミシン針とボビンケースやボビンは職業用のものが使用できるんです。ゴム輪も特殊なことはないですし、ベルトも家庭用足踏みミシンのベルトです。

　操作も特に難しいことはなく、普通の直線縫い足踏みミシンとの違いは針の落ちる位置、つまり左基線か中基線かを操作する点とジグザグの振り幅を決める操作する点だけです。ミシン中央右手付近のレバーがそれです。英語の説明書のコピーをお付けしますので、挿絵でも十分に分かると思います。

　ミシン本体は分解して古い汚れをクリーニングしました。さすがに機械だけあって汚れが蓄積していましたが、きれいになりました。油も十分に差して動作も軽くなっております。ボビンケースは正面から入れるタイプで、ミシン針も穴が前後になるように取り付けます。現代の家庭用ミシンと同じですね。

　台はオークのツキ板仕様。機械を収納するタイプではなく据え置いてカバーを被せるようになっています。縫う場所はバタフライテーブルで広げられますので広い作品を縫う作業にもいいですね。塗料にはイギリスでアンティーク家具の補修や塗装に使用されている天然樹脂シェラックニスを当店で独自調合してフレンチポリッシュで仕上げております。古い家具に見られるよう時が経っても味わいがある塗料です。熱いカップやアルコール、または花瓶の水などに注意して下さい。脚は分解クリーニング後に再塗装して調整いたしました。

　家庭用ですが工業系に近づいた機械の足踏みミシンです。