シンガー製”八方”ミシン、モデル29K71の足踏みミシンです。
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シンガー製の靴・鞄など革や厚地を縫うためのミシン、モデル29K71足踏みミシンが入荷しました。業界ではシンガーの八方ミシンと呼ばれますが、元はこちらのようなシンガー29型を雛形にして国産で製造されたミシンが八方ミシンです。1900年代前半からマイナーチェンジをしながら製造され続けたモデルで、黒いボディの29K71まで半世紀は続いたロングセラーの機種です(その後は水色のボディの同型がありますが)。29K71はシンガー29Kシリーズの中でも技術や使い勝手が円熟した頃ですので、基本は同じ造りでも安心して使える機種かもしれません。
さて、私も”八方”という名前を初めて聞いたときミシンらしからぬ名前のような気がしたのですが、実はこの名称がこちらのミシンの特徴を最も表しています。左の2枚目の写真で分かりますが、上送りの方向が後ろ前横に向いています。四方八方に送るミシン、すなわち八方ミシン!というわけです。英語ではユニバーサルフィードと呼ばれます。直訳すると全方向送り機能、それを考えると八方ミシンは堅苦しくなく秀逸な和訳ですね。
針は専用ミシン針(DIx3など)が使用できます。釜やボビンも専用ですが、現在も製造されていますので、ミシン専門店等では手に入ると思います。今はインターネットもありますし、入手は簡単です。
機械は分解掃除をして調整いたしました。29型ミシンは内部が非常に汚れていてもパワーで動いてしまいますが、中の汚れを取り除けば動作は非常に軽くなります。ベルトなどの消耗品は交換いたしました。
脚は分解クリーニング後に再塗装をして機械の調整もしております。ベルト車と機械本体にはベルトを掛ける溝が2本あります。プーリーの比を変えることによって縫う速度やパワーを変えることが出来るんですね!ベルトは同じ長さのまま変えられるよう設計されています。機械右側のハンドルも付いています。こちらは下糸巻きをする時に便利で、わざわざペダルに足を持っていきながら上半身だけ右側に傾けるという体捌きをせずに済みます。
各箇所の写真にも機能を解説しています(下写真参照)。
消耗品 | 市販 | |
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ミシン針 | 専用ミシン針 DIx3等 | ○ |
ボビンケース | 専用ボビンケース | ○ |
ボビン | 専用ボビン | ○ |
ゴム輪 | 不要 | ○ |
ベルト | 職業用革ベルト | ◎ |
◎:手芸店で新品入手可能 ○:専門店で新品入手可能(かも) △:ミシン専門店でも新品入手難 ×:アンティーク品のみ存在 |
主な機能 | |
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縫い目調整 | ○ |
返し縫い | - |
上糸調子 | ○ |
下糸調子 | ○ |
押え圧力調整 | ○ |
サイズ(横x奥x高さ) |
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71 cm x 47cm x 115 cm |
※ |
その他の特徴 |
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