お～豪華で存在感のある足踏みミシン･･･貼付彫刻ミシン台のシンガー製足踏みミシンです。台に陰影が付くだけでこれだけ存在感が増すんですね。ミシン本体はモデル15Kと呼ばれるモデルで、上下糸を絡める釜の機構には半回転垂直釜が採用され、皆さん馴染みのある角のあるボビンケースを使用する機種です。国産の足踏みミシンの多くがこのモデルを雛形に規格が揃えられたため、国産の機種というと最初はシンガーの15型と部品の大きさやミシンの使い方はほとんど同じでした。もっとも、このミシンが製造された1929年ころは品質面ではシンガーが日本製よりも頭抜けていたようです。

　機械は分解掃除をして調整いたしました。ボビンケース・ゴム輪・ベルトなどの消耗品は交換いたしました。一般に市販されている家庭用のミシン針・ボビンケース・ボビンが使用できます。模様はなかり磨耗が進んでいましたので、今回下地の塗装と共に絵柄も復帰させました。当時流行したオリエント・エジプトをモチーフとしたデカール（模様）です。こちらも台の彫刻と相まってかなりの存在感を出していますよ。

　テーブルの木製部分は古い塗料が劣化していましたので全てクリーニング・研磨して再塗装をいたしました。傷んでいた箇所は生地が引っ掛からないように補修しておきました。樹種はマホガニー系で木自体が年月を経て赤みを帯びてきています。古い塗装の研磨後は色むらを抑えるため植物由来のステインを使用して色味を調整し、トップコートには天然樹脂のシェラックニスを使用しました。いずれも古くからアンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。脚は分解クリーニング後に再塗装をして本体との連動の調整もしております。

　すごく華麗なミシンですよ！