麦わら帽子を縫うためのブレードミシンが入荷しました！もともと足踏み動力で動かしていたミシンではありませんので、こちらも電動モーター動力にしております。モーターは車のアクセルのようにペダルを足で踏んで制御します、そういった意味で足踏みではあります（^^;）。製造はドイツ・ドレスデンのグロスマン。おそらくこういったブレードミシンなど上糸一本で縫うミシンを専門に製造していた会社だったと思われます。製造年は1900年台初頭と思われます。堅牢でサイズのわりに重量があり、密度の高い鉄を使ってあることが容易に想像できる、そんなミシンです。

　こちらのミシンの直線チェーンステッチ縫いのミシンです。ブレード（紐）を縫うミシンと書きましたが、写真のようにデニムの裾上げで重宝される一般生地のチェーンステッチも出来ました。縫い目の長さも調整可能。使い方は…詳細は帽子製作の学校にお問い合わせいただくとして、基本は普通のミシンと同じく糸を掛けて、押えの下に生地（麦わらなど）を置いて、縫っていくというだけです。NHKの美の壺の「麦わら帽子」の回で別メーカーの機種を使っている映像を見ましたが、テクニックが要ります！ですが、出来上がった作品には職人の技が見える美しさがありました。

　針は専用の工業用ミシン針DTx1等を使用します。DBx1などの工業用ミシン針よりも短い針です。ミシン専門店では取り扱いがあると思います。また機械は幾つも動く箇所があり油をさす穴も設けてありますので、使用する際には油を欠かさずに差してあげるようにしてください。特にミシン後方の油穴はよく錆が付いていることがありますので注意が必要です！

　モーターは国産のYDKのミシンモーターを使用しました。速度はペダルの踏み加減で調整して十分な速さが出ます。最高速よりも中速くらいまでが縫い目が安定するようです。本体側のプーリーも低速側に設置しています。スピードの電子制御ができるサーボモーターへ変更をご希望の場合には別途ご相談に応じます。

　台はこちらのブレードミシン専用に当店で製作いたしました。板には無垢材を使用。エッジのカーブもアンティーク品と同じく曲面をとっております。塗装には当店独自の天然ステインとニスを使用しました。使用した塗料は天然樹脂シェラックニス。古くから使用される天然樹脂の塗料で、アンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。天然素材で石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。脚はミシン本体とはメーカーが異なりますが、アンティークのドイツ製鉄脚を使用しました。太い鋳物で重厚な造りですし、曲線も美しいですね。こちらも分解クリーニングをいたしました。

　後ろの太巻き用1本糸立てをお付けします。また今回は当工房で製作したミシンがけに高さピッタリ！？のスツールとのセットでお出しいたします。スペアの送り歯や押え金も付属（新品なら数万円…）していますので、何かとお得な１台になりました！