国産ジャノメミシンの足踏みミシンです。現在でも堅牢で丈夫なミシンを製造する日本を代表するミシンメーカーですね。歴史は古く戦前からミシンの開発製造をしていて、戦後もこのような足踏みミシンを市場に送り出し、その後販売で世界一にもなったことのあるメーカーなのです。特に終戦後には多くのミシンメーカーが興亡した時代で、私共のもとにもあらゆるメーカー名の足踏みミシンが送られてきますが、当時の技術力はジャノメは間違いなくトップクラスでした。使うときの動作の音や安定感でも感じますし、職人が分解して触れる素材の品質や機械の精度にも感じます。本機もその当時の技術の粋が込められています。

　機械は分解調整とクリーニングをいたしました。模様もほとんど残っていて塗装の良さを感じます。メッキも輝く部分が多く残っています。この機種の良い点は、消耗品である家庭用ミシン針・ボビンケース・ボビンなど市販されていることです。返し縫い機能、送り歯を上下させるドロップフィード機能（送り歯の高さを調整させる機能）もあります。キルトや刺繍もやっていた方がいるようです。アタッチメントを使えばボタンホールの穴かがりも可能です。

　木製の台部分はそれほど傷みがなく塗装もあまり劣化したり欠けたりが見られませんでしたので、一部の傷や破損箇所を補修して、トップコートに薄くニスで塗装をいたしました。塗料には天然樹脂のシェラックニスを使用しました。いずれも古くからアンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。 ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。 脚は分解クリーニング後に再塗装をして本体との連動の調整もしております。

　特に模様がよく残ったきれいな機械の足踏みミシンです。