整備ポリシーやコンディション評価について

整備ポリシー

とにかく基本は手作業で

手作業で分解します。

 古いミシンは慎重に修理をしなければなりません。特に海外のものは規格が独自でのものや、中には壊れやすくなった部品もあります。模様も剥がれやすくなっているものも少なくありません。そういったリスクを確認するには素手が一番だと考えます。作業中にやむを得ず模様がかけてしまうこともございますし、もちろん工具や機械も使いますが、極力手で触れてみて慎重に作業を進めています。

古くなった台も修理します。

 台の整備も手作業です。木製部分は平らに見えても、長年経った部品には微妙な変化があります。一気に機械を使って磨けば簡単かもしれませんが、理屈どおりには行かないものです。また薄い板を使った台の表面も手荒に扱うとさらに傷みを増すことも考えられます。機械も木製部分も修理行程が同じことはありません。マニュアルが非常に大事なのです。

古びた風合いを大事に

手作業で塗装をします。 鋳物の脚も分解します。

 当店では決して工場で作ったようなテカテカの厚塗り塗装は避けています。もちろん汚れや古く傷んだ塗料は出来るだけお手入れをしますが、時間を経過した風合いも残すべきだと考えます。例えば、ミシン本体は板金塗装すればきれいになるのは間違いないのですが、部分補修のみで済ませミシンや台や脚との一体感を出すことも重要だと考えます。また、台の塗装にはヨーロッパで古くから現代までアンティークの家具の塗装や補修にしようされてきた天然樹脂を使用しています。木の老け具合や種類によって独自に調合・調色した数種類の塗料を準備し、フレンチポリッシュという手塗りの手法で塗装しています。もちろん現代の塗料を選択することもありますし、状態によっては板の張替え・作り替えが必要なこともあります。レストア修理では出来るだけ当時の姿に戻すことが目標ですが、他方で何十年も生き抜いてきた古艶を感じてもらえるような、ある意味矛盾するような仕上げに挑戦しています。

コンディション評価

 当店ではお客様が商品をご覧になる際に参考に出来るよう独自の評価を記載しています。具体的には、まずミシン本体の模様や絵柄の擦れや木製台の補修程度や素材のレベルなど見た目の評価、またミシンのもつ機能や消耗品入手のし易さなどを基準とした実用性評価です。いずれも明文化できる内容とそうでない内容がありますので、私どもの経験をもとに付けている評価として参考にしてください。

見た目の評価

極美品画像で見ても綺麗だが実物は非の打ち所が無いほど美しいミシン。滅多に出会えない。
美 品画像と比べてもあまり差が無いくらい綺麗なミシン
良 品写真には写らない程度の傷などがあるもの。アンティークとしては美しいミシン。
平均的年月や使用を考慮すれば無難なミシン。使うには問題ない程度。
難あり縫えるだけで美観には全くこだわらない方向け。当店では滅多に販売しません。

※対象のミシンが家庭用か職業用か工業用かによって、評価の平均ラインは異なります。家庭用は磨耗が少ないものが見つかりますが、職業用や工業用は毎日のように使われるのが当然の機械ですので、模様や塗装の磨耗が多いことが普通であるためです。

実用性評価

★★★★★(5)消耗品が容易に手に入り、直線縫いのミシンとしてかなり実用性が高いもの(返し縫い機能の有無で4との差があります。)。
または目的が明確な工業用ミシン(革用など)。
☆★★★★(4)消耗品が容易に手に入り、直線縫いのミシンとして実用性が高いもの
☆☆★★★(3)針またはボビン周辺のどちらかの消耗品が手に入りづらいミシン
☆☆☆★★(2)幾つかの消耗品が入手困難なもの
☆☆☆☆★(1)飾りにとしての使用価値で1。実用には向かないもの。 トイミシンなど

※消耗品の入手は一般的な手芸店での購入を基準にしています。当店ではそういった部品も販売しています。