大同工業製のROBIN TE-1 足踏みミシンが入荷しました。こちらは国産で、通称17型や腕ミシンなどと呼ばれます。それはこの機種がシンガーのモデル17をもとにしているため、そして縫う台の部分が円筒でアームのようになっているため腕ミシンと呼ばれるようになったようです。筒状になっているため靴や鞄といった袋状のものを縫うのに便利と言うわけです。よって厚地に強く、主に皮革や帆布など厚いものが得意なミシンなのです。腕ミシンは生産台数自体が少ないためずっと入手困難機種です。特にモーター化が進んだ頃に足踏みペダルを取り払ってしまったりモーター用の台に交換してしまったケースが多いため、このように上下にメーカーが揃った品はなかなか見つかりにくいのです。

　針は工業用・職業用として売られているミシン針（DBx1や革用TF針など）が使用できます。ボビン・釜も国産の新品がありますので入手しやすく消耗品の心配もいりません。今回は革用の針21番以上を使用して牛革4mm程度に30番から8番の糸を使って試し縫いをしております。生地の種類にもよりますが、今回は摩擦が強く糸を引く革を使いましたので、太い糸ほど上糸調子を強めにする必要があります。

　機械は分解掃除をして調整いたしました。ベルトなどの消耗品は交換いたしました。膝上げは現行のものを使用しています。

　木製の台は当店で製作いたしました。厚20mm以上の無垢アッシュ材の接ぎ板を使用しております。縫うときの振動を抑えるには厚さが必要ですミシン脚からも板を支える支持棒が出ていますので、耐久性は十分です。使用した塗料は天然樹脂シェラックニス。古くから使用される天然樹脂の塗料で、アンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。天然素材で石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。脚はクリーニングを済ませたところ錆が少なく下地から文字の金色も部分的ではありますが出てきましたので、今回は古味を考えて塗装はオリジナルのままで調整・整備をいたしました。

　革用の針2ケース（番手はご注文後にご相談）・ボビン6点・ミシン油はお付けします。動作は軽くパワフルな足踏みミシンです。