90以上も前の品物とは思えないほど絵柄がきれいに残ったアメリカ製シンガーミシン、モデル66の足踏みミシンです。模様は植物柄がベースとなっていますが、鮮やかな色合いやコントラストが他に見られない珍しい機種です。前方のSINGERの文字の左右にある赤い模様から通称”レッドアイ”などとも呼ばれます。この模様はアメリカ製シンガーにのみ見られ、イギリスのやや落ち着いたデザインとは対照的です。とはいえ機械の中身はシンガー66で大した違いはなく使い方は同じです。

　機械は分解掃除をして調整いたしました。ボビン・ゴム輪・ベルトなどの消耗品は交換いたしました。一般に市販されている家庭用のミシン針が使用できます。ボビンはシンガー専用ですが現在でも製造されていて金属製のものでしたら当店でも販売しております。

　テーブルの木製部分は古い塗料が劣化していましたので全てクリーニング・研磨して再塗装をいたしました。樹種はマホガニーの一種。こちらの台は素地のコンディションが良く再塗装後は木の杢目が生きた仕上がりになりました。塗料には植物由来のステイン、天然樹脂のシェラックニスを使用しました。いずれも古くからアンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。脚は分解クリーニング後に再塗装をして本体との連動の調整もしております。

　２段引き出しのバランスの良い足踏みミシンです。