出ました！ミシンにしてこの存在感…シンガー製クイーンアンスタイルキャビネット・モデル15k88の電動ミシンです。ご覧のように足踏みペダルがありません。そう、こちらは足踏みミシンではなくモーターが外付けされた電動ミシンですが、商品一覧では足踏みミシンの中に掲載させていただいております。こういった猫脚デザインはイギリスのアン女王治世（1700年初頭）の建築・家具デザインを起源とし、19世紀から20世紀にかけてその魅惑的で優雅な意匠が復刻され、いわゆる猫脚の家具や椅子が作られていました。とはいえ本機のようなミシンの台として猫脚が採用されたのは極めて稀で、シンガー社でも製造数は決して多くはなかったようです。うんちくはさておき、脚線美や凝った木調、それを際立たせる美しい杢目、見るものをうっとりさせると思いませんか！？

　機械はイギリスのシンガー製、モデル15と呼ばれる日本でもメジャーな機種の中でも少し希少な15K88というクラスのものになります。使用法は普通の足踏みミシンと変わりないのですが、違いはボビンケースの角の向きと針を付ける向きが反対だという点。ボビンケースは角の出る向きが左上を向いていて、針は家庭用ミシン針を使用しますが平らな面が左に向くように取り付ける必要があります。従って針に糸を通す向きもミシンに対面して右から左となります。ボビンやその他の消耗品は市販の家庭用品が使え、使用方法やメンテナンスも同じです。分解掃除をして調整して縫い目はモーターで高速で縫ってもきれいに出ております。※←ボビンケースを別途スペアで1つお付けします。

　キャビネットはマホガニー仕様で美しく杢目が際立つ面が使用されています。こちらへ入荷時見える範囲のメンテナンスは既になされた状態でしたが、内側の部品などに欠け等ありましたので補修いたしました。塗装も状態はよく表面をわずかに研磨してトップコートのみ薄く再塗装をいたしました。塗料には英国伝統の天然樹脂のシェラックニスを使用しました。いずれも古くからアンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。

　モーターは新しくアンティークの雰囲気に合う黒いものを取り付けました。電装品は新しい方が安心ですね。実際の使用には付属のフットコントローラーを接続して、ペダルを踏む要領で縫い進められます。こちらのミシン台はミシンを起こして注油などをおこなう際に後ろ目に重心が掛かる傾向にありますので、壁際に設置していただくのが良いと思います。