シンガー製 職業用足踏みミシン・モデル103です。
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ドイツ製シンガー、モデル103の職業用の足踏みミシンです。日本の職業用ミシンはこの機種がひな形になって作り上げられたジャンルです。そもそも世界には”職業用”の分類はなく、強いて分ければ家庭用と工業用の2種類でした。職業用は家内制機械工業、言い換えれば仕立て屋などの職種の方に好まれました。つまり個人の家で使用される家庭用と工場で稼働する工業用の間にあるのが職業用というジャンルです。縫うスピードは速く、工業用よりコンパクトで取り回しが良く、でもパワーはある、という需要にマッチしたんですね。大きなベルト車が回転すると家庭用足踏みミシンよりもスピードを出ますので、作品の完成まで短時間で済みます。また職業用ミシンの全回転垂直釜は高速での安定性が売りです。全回転釜は半回転釜に比べると音も静か。また懐が深く大きな作品を縫いやすいのも特徴です。極厚物でなければ、帆布やデニムといったそこそこの厚さのものも縫えます。上の試し縫いでは上下20番のジーンズステッチの糸で8号帆布6枚重ねて縫っていますが、まったく普通の生地と同じように縫えました(ただし上糸調子は強くして)。
針は工業用・職業用として売られているミシン針(DBx1など)が使用できます。釜は垂直全回転釜で高速に強く、脚部のベルト車も直径が大きいため、スピードとパワーの両方に対応したミシンとも言えます。機械は分解掃除をして調整いたしました。返し縫い機能があります。パーツは基本的にはオリジナルで、消耗品は交換しました。内部のグリースも交換しております。
台は当店で新たに製作いたしました。使用した塗料は天然樹脂シェラックニス。古くから使用される天然樹脂の塗料で、アンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。天然素材で石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。脚は分解クリーニングをして再塗装いたしました。
仕事で使われる職業用ミシンにしては模様が残っていることを考えると、あまり使われなかったのか大事に使われていたのかもしれません。
消耗品 | 市販 | |
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ミシン針 | 工業用ミシン針 DBx1等 | ◎ |
ボビンケース | 職業用ボビンケース | ◎ |
ボビン | 職業用ボビン | ◎ |
ゴム輪 | 不要 | - |
ベルト | 職業用革ベルト | ◎ |
◎:手芸店で新品入手可能 ○:専門店で新品入手可能(かも) △:ミシン専門店でも新品入手難 ×:アンティーク品のみ存在 |
主な機能 | |
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縫い目調整 | ○ |
返し縫い | ○ |
上糸調子 | ○ |
下糸調子 | ○ |
押え圧力調整 | ○ |
サイズ(横x奥x高さ) |
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90 cm x 45cm x 74.5 cm |
※高さは床から天板上面まで |
その他の特徴 |
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説明書(日本語訳済)のコピーをお付けします。