ブラザー製TA1-B18型の職業用足踏みミシンです。ブラザーと言えば昔から知られたミシン製造会社ですね。今や多分野で活躍する大企業ですが、その根っこはミシン製造から始まっています。こちらの職業用ミシンTA1-B18は終戦後間もない頃に製造されたものですがすでに品質は欧米のミシンに比肩していて、日本の安くて品質の高いミシンらが輸出されたことが、例えばシンガーなどの大ミシンメーカーが弱体化した大きな要因になったと言われています。それにブラザーの創業者はミシンを台から落として壊れなかったら市場に出せ、と言ったという逸話も残っていますので、頑丈さも折り紙付きです。現在に至るまで使用できるということがその証明ですね！

　機械は分解掃除をして調整いたしました。ベルトなどの消耗品は交換いたしました。工業用ミシン針（DBｘ１など）・ボビンケース・ボビンなど市販されているものが使用できます。返し縫い機能があります。こちらのミシンの糸立て棒（右）には途中に穴が開いていてほかの糸立てから糸を引いてこれます。

　木製の台は補修と古い塗装表面を薄く研磨し、色味の調整をした後に再塗装を致しました。塗料には植物由来のステイン、天然樹脂のシェラックニスを使用しました。いずれも古くからアンティーク家具の補修や塗装に使われてきました。石油系シンナーなども使用しておらず、またホルムアルデヒドの吸着効果もあると言われています。ただ、熱やアルコールに弱いので、熱いコーヒーカップや消毒アルコールなどを置かないようにしてください。また水気のある花瓶も避けた方がよいでしょう。左に拡張できるバタフライテーブルの突板に欠けがありましたので、そちらは木で継いで補修をしています。脚は分解クリーニング後に再塗装をして調整いたしました。

　どんどん縫う方にはやはり懐の深い職業用ミシンをお勧めしたいですね！